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冬の食中毒の主役はノロウイルス!冬の腹こわしの主役はノロウイルス!

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Q. 食中毒とは?

A. 食品を摂取することで発症する疾患を食中毒といいます。細菌、ウイルス、寄生虫、ふぐ毒、腐敗物などが原因となります。



Q. 感染性胃腸炎とは?

A. ウイルスや細菌などの感染病原体による嘔吐や下痢を主症状とする疾患を指します。嘔吐下痢症は感染性胃腸炎の一種ということになります。



Q. ノロウイルスってよく聞きますが・・・

A. 2004年福山市の高齢者福祉施設でノロウイルスによる集団感染より有名になりましたが、ウイルス自体の発見は1968年になります。90年代に検査法が確定し、98年に食中毒の原因としてはじめてウイルスが加えられました。海で汚染したカキ等を提供して健康被害を起こせば、“提供した人が行政処分される”という事で当時は混乱が有りましたが、それ以後この処分は定着しました。



Q. ノロウイルス感染症は冬季にはどれぐらい多いのですか?

A. 食中毒の原因としては年平均で約40%ですが、冬季に限れば80%以上の原因を占めます。また冬季の感染性胃腸炎の集団発生あるいは“嘔吐下痢症”からもほとんどのケースでノロウイルスが検出されます。
昔の“原因不明であった大食中毒事件”や“集団感染事件”なども、過去にさかのぼり調査して、原因がノロウイルスであったことが判明しています。

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Q. 夏季はノロウイルスはどこへ行っていますか?

A. ノロウイルスは絶えずヒトに付いてないと消滅します。生き続けるためには、年間通じてヒトへ感染している必要があります。夏季は、便や吐物へのウイルスの排泄量が冬季の1万分の一ほどに減ります。また、体外では冬季ほど長くは生存できません。以上のような理由で、冬季にくらべると夏季はノロウイルスは流行しません。



Q. ノロウイルスは強毒性ですか、弱毒性ですか?

A. 全国の死亡統計1997年~2007年の11年間で、ノロウイルス感染症による死亡者は58名であり、うち2名が0~4歳、それ以外は高齢者となっています。そして、これらの死亡例は、ノロウイルスが直接の原因ではなく、体力や抵抗力が低下しているために吐物をのどに詰まらせたり、肺炎をひきおこしたことが原因であったことが分かっています。
ふつうに歩き・食べて・生活ができている人であれば、ノロウイルスに感染しても命にさわることはないと言えます。



Q. ノロウイルス感染症の症状は?

A. 12~72時間の潜伏期で発症します。乳幼児・小児は嘔吐が、成人は下痢がよく見られます。また38℃程度の熱を伴うこともあります。そして通常は2~3日で症状は改善します。しかし便よりウイルスの排出が2週間まで続くことがあり、中には1か月ほど続く場合もあります。



Q. ノロウイルスの感染性はどうですか?

A. 急性期の便1gには1億個、吐物1gには100万個が排出され、手に付けば、しわ1mmの深さ当たり2,5万個のウイルスがいると計算されています。タオルなどに付着した状態で冬季は約3週間生きており、手に付くと1回洗いぐらいでは落ちないことが分かっています。
因みにアメリカ感染症・疾病管理センターはウイルス18個で感染可能と 発表しています。



Q. カキはノロウイルスをヒトからヒトへとよく媒介しますか?

A. ノロウイルスはヒトにのみ感染します。感染とは、病原体が付着し増殖することです。感染者から排出されたノロウイルスは下水処理場をへて河川・海へ流れ込みます。海水のプランクトンを餌としているカキは、1時間に18ℓの海水を取り込むため、カキの肝臓にウイルスが付着(汚染)します。それを人間が食べて感染します。 しかし実際 “カキの生食によるノロウイルス感染”は大変少なく、“汚染された手で感染”する方がはるかに多いのが現状です。
因みに、ヒトの感染が先か、カキの汚染が先か調べた調査がありますが、感染性胃腸炎の流行がまず始まり、1か月遅れて市販のカキが汚染されていくことが分かっています。



Q. カキ以外の二枚貝は大丈夫ですか?

A. アサリやシジミなどの二枚貝もノロウイルスに汚染されています。しかし、日本人はこれらを生で食べる習慣がないため、食べて感染するケースはほとんどありません。



Q. 下痢を起こす他のウイルス(ロタ、サポ、アストロウイルス)も二枚貝を汚染すると考えていいですか?

A. ノロウイルスと同じように汚染します。感染した時の症状もノロウイルスの場合と同じで区別がつきません。



Q. ロタウイルスやサポウイルスの感染はどうなっていますか?

A. ロタウイルスによる食中毒の医師からの届け出はあまりありません。ロタウイルスが主に子供の病気であるためでしょう。ほとんどは嘔吐下痢症として処理されています。小児期にロタウイルス(A群)に感染し抗体が出来るため、大人はあまりかかりません。しかしまれに抵抗力の低下した高齢者が入所している施設からは集団感染症として報告されています。サポウイルスは、検査体制が整うに従い最近増えてきています。



Q. カキを食べてA型肝炎になると聞いたことがありますが・・・

A. “輸入の生魚介類の1%がA型肝炎のウイルスに汚染されている”という調査報告があります。しかしノロウイルスに比し、感染力が百分の一から千分の一と弱いため、ウイルスを大量に取り込まないと感染しないと考えられています。



Q. 汚染されたカキを食べて“あたる人”と“あたらない人”がいますが・・・

A. “全くカキにあたらない人”がいるということは、昔から言われていました。現代では、それがヒトの遺伝子的な違いによるものがあることが分かっています。
因みに“不顕性感染”と言って、ノロウイルスに感染しているけど下痢・嘔吐などの症状がなく、しかし便の中にはウイルスを排出している人がいることも分かっています。



Q. ノロウイルスはどのようにして感染しますか?

A. ①カキ(などの二枚貝)を生で食べた場合(食中毒)
②ノロウイルスの付着した食物を食べた場合(食中毒)
③ノロウイルスが手に付着し、その手が口に触れた場合(接触感染)
④ノロウイルスが飛沫/粉塵となり、口・鼻から入った場合(飛沫/粉塵感染)



Q. 冬、幼稚園・小学校で嘔吐下痢症がはやっています・・・

A. ノロウイルスの接触感染によって広まったのでしょう。最近は一部は飛沫・粉塵感染によるものと考えられています。感染を予防するには、手洗いやうがいがたいへん大切です。



Q. うがいは効果がありますか?

A. 2009年に、新型インフルエンザが大流行したことがありましたが、その年感染性胃腸炎は減少しました。研究者は、新型インフルエンザの予防目的で皆さんがうがいをしっかりしたのが理由のひとつでないかと考えています。



Q. 病院・高齢者福祉施設で集団のノロウイルス感染症が起きました・・・

A. 病院・高齢者福祉施設では、実際食中毒による感染はほとんどおこりません。誰かが施設内にノロウイルスを持ち込み、そして接触や飛沫・粉塵により感染が広がったと判断されるケースがほとんどです。



Q. 病院・高齢者福祉施設で集団のノロウイルス感染症が起きました・・・

A. 病院・高齢者福祉施設では、実際食中毒による感染はほとんどおこりません。誰かが施設内にノロウイルスを持ち込み、そして接触や飛沫・粉塵により感染が広がったと判断されるケースがほとんどです。



Q. 飲食店で食中毒が発生しました・・・

A. 95%以上の食中毒事件においては、お客さんはカキを食べていません。 カキを介さない“ノロウイルスの食品汚染による食中毒”がほとんどです。またカキが疑わしいケースであっても、検査したいカキはすでに食べてしまっているために検査できなかったり、あるいはたくさんの食材を同時に食べるために断定できないことがほとんどです。



Q. 検査の方法はありますか?

A. 抗原抗体法(イムノクロマト法)が保険でできます。3歳以下ないし65歳以上、がんの人などの制限がありますが、1gの便があれば、30分で結果がでます。ただし感度がよくありません。イムノクロマト法陰性ということで調理業務を行い、食中毒事件がおきた例があります。
なお、PCR法と言う1000倍感度の高い検査がありますが、保険が通っていません。



Q. ワクチンの見通しはありますか?

A. 1年ほど前より、国内外でワクチンの臨床実験が始まっています。近い将来認可されるかもしれません。



Q. 会社、学校、施設で感染症が起こった場合、何日休んだらよいですか?

A. いずれの施設においても、何日休んだらよいかは法律で決まっていません。会社・施設等にはノロウイルスに感染した場合の感染マニアルがあると思いますので相談するとよいでしょう。
症状はなくなれば会社や学校に行くのは可能ですが、二次感染防止のために、できれば3日ほど休むのが望ましいと言えます。ただ、症状が無くなっても通常2週間ほどノロウイルスが便の中に排出すると言われていますので、学校等へ行くのであれば、2週間は充分手洗いをすることが大切です。
なお調理従事者のひとがノロウイルスにかかった場合は、ウイルスが陰性であることを検査で確認し職場に復帰するよう義務付けられています。



Q. 家族がノロウイルスにかかりました。治療はどうしたらよいですか?

A. 現在のところ特効薬はありません。下痢は時間をかけて治しましょう。 幼児、高齢者および基礎体力の弱い人は嘔吐・下痢で体力が消耗しないよう、早めに病院へ行くのがよいでしょう。 家庭では、“おかゆ、野菜スープ、煮込みうどん等の消化のいい物”を、お腹の調子を見ながら少量ずつ摂取しましょう。 水分の補給も心がけましょう。 脂肪分や糖分、食物繊維の多い食物あるいは香辛料、海草、乾物などはなるべく控えましょう。



Q. 家庭内での、感染防止のための注意点はなんですか?

A. 2週間程度は大量のウイルスが便の中に出ますので、この期間は特に注意が必要です。 患者がトイレ後に手を洗うのはもちろんのこと、この時期は家族全員で手洗いやうがいをしっかりやりましょう。 患者とのタオルの共用は避けましょう。
それから、家族はトイレ周りや患者が触れたもの(ノブや蛇口、調理・食器類など)を次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)で消毒しましょう。汚物があれば、適切に処理し、汚物の付いた床や衣類は0.1%で消毒しましょう。 患者の入浴は家族の最後にし、お尻をよく洗って入りるようにしましょう。



Q. ノロウイルスを次亜塩素酸ナトリウムで消毒したいのですが?

A. 市販の塩素系漂白剤を50倍に薄めると、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムができます。また、250倍に薄めると0.02%をつくることができます。ただ、これらは手や粘膜に使用してはいけません、水道水で充分洗いましょう。



Q. アルコール消毒ではだめですか?

A. アルコール単独でもノロウイルスを約1/10以下に減少させることができます。しかしノロウイルスは少量でも感染するため、安心とはいえません。最近は、アルコールにウイルスを不活化する添加剤を入れた消毒薬、「アルベットNV」や「ジョキスト」などが市販されていますので、これらを使用するのもよいでしょう。




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